たまに==演算子をオーバーロードしたりEquals()をオーバーライドしたりしますが、
ちゃんとやろうとすると意外とややこしいのでメモです。
実用性重視。細かい話には踏み込みません。
- デフォルトの実装
- ==とEquals()の違い
- ==を書いたらEquals()も書くべき?その逆は?
- GetHashCode()も書くべき?
- 結論1: 値型に==をオーバーロードしたい場合
- 結論2: 参照型を値で比較したい場合
- 参考
デフォルトの実装
==もEquals()も、二つのオブジェクトが等しいことをチェックするためのものです。
ではなにをもって二つのオブジェクトを「等しい」と判定するのかというと以下の2パターンがあります。
- すべてのメンバの値が等しい
- 参照が等しい
これを踏まえて==とEquals()のデフォルトの実装をみてみます。
デフォルトの実装はクラスと構造体で異なります。
クラスの場合、デフォルトで==もEquals()も実装されています。
そして==もEquals()も「参照が等しい」ことをチェックします。
構造体の場合、デフォルトではEquals()のみが実装されています。
このEquals()はデフォルトでは、「すべてのメンバの値が等しい」ことをチェックします。
==は実装されていないので、使いたければオーバーロードする必要があります。
==とEquals()の違い
では==とEquals()はどのように使い分けるのでしょうか。
構造体の場合は、==もEquals()も「値として等しい」ことを示すべきです。
原則として==とEquals()に違いがあるべきではありません。
ただし前節の通り==は定義されていないので、使いたければ定義する必要があります。
クラスの場合、==は常に「参照が等しい」ことを示すべきであり、すなわちオーバーロードすべきではありません。
ただしクラスで、「(参照が違っても)値として等しい」ことをチェックしたい場合があります。
そのようなときにはEquals()をオーバーライドし、値をチェックします。
よってクラスでは==は参照のチェックに、Equals()は実装次第で参照のチェックあるいは値のチェックに使われます。
==を書いたらEquals()も書くべき?その逆は?
次に==をオーバーロードしたらEquals()もオーバーライドするべきなのかを考えます。
==をオーバーロードするのは構造体で==演算子を使いたい場合でした。
この場合、上述の通り==とEquals()は同じ結果を返すべきなので、==を定義したらEquals()も定義して同じ結果を返すべきです。
一方、Equals()をオーバーライドするのはクラスが値として等しいかをチェックをしたいときでした。
上述の通り、Equals()で値として等しいかをチェックしても==は参照の等価をチェックするべきなので、==はオーバーロードするべきではありません。
つまりEquals()をオーバーライドしたとしても==はオーバーロードしなくていいです。
GetHashCode()も書くべき?
よく==やEquals()と一緒にGetHashCode()もオーバーライドされます。
このメソッドはハッシュコードを返します。
二つのオブジェクト間でこのハッシュコードが異なればオブジェクトが等しくないことが保証されます。
ただし、この値が同じであっても必ずしもオブジェクトが等しいとは限りません。
オブジェクトが等しいかどうかを判定する際のヒントとなる程度のもののようです。
ただ、コレクションのキーとして使われる可能性があることを考えると、
Equalsや==をオーバーライドした際には必ず実装しておくべきであるようです。
「Equals() と演算子 == のオーバーロードに関するガイドライン (C# プログラミング ガイド)」では、Equalsメソッドをオーバーライドしたときは、GetHashCodeメソッドもオーバーライドすることを勧めるとされていますが、「Equals および等値演算子 (==) 実装のガイドライン」では、必ずGetHashCodeも実装するとされています。どちらが正しいのかは分かりませんが、少なくともコレクションのキーとして使用するときは、GetHashCodeもオーバーライドしないと不具合が生じる可能性があるようです。
https://dobon.net/vb/dotnet/beginner/equals.html より引用
結論1: 値型に==をオーバーロードしたい場合
長くなったのでまとめます。
まず値型に==をオーバーロードしたい場合にやるべきことは下記の通りです。
最後の!=演算子については記事中で触れませんでしたが、==をオーバーロードする場合には必ず!=もオーバーロードする必要があります。
結論2: 参照型を値で比較したい場合
次に参照型で値を比較したい場合には次のような実装をします。
- Equals()をオーバーライド(値として同一であることを示すように実装)
- GetHashCode()をオーバーライド
参考
自作クラスのEqualsメソッドをオーバーライドして、等価の定義を変更する - .NET Tips (VB.NET,C#...)